No.19
136: ◆RG0tqCTiKk:2022/12/10(土) 23:07:34 ID:Sp2JCwak0
ミセ*゚ー゚)リ「トソーン」
(゚、゚トソン「ミセリ、教室、間違ってますよ」
ミセ*゚ー゚)リ「あ、ごめんごめんそうだった……じゃなくて!」
ミセ*゚ー゚)リ「今日は部活もないんだし、一緒に行こうって話だったじゃん!パルフェを、食べに!」
(゚、゚トソン「はいはい、忘れてませんよ。そのつもりで待ってたんですからね。行きましょうか、パフェを食べに」
ミセ*゚ー゚)リ「パルフェ!ね。本場おフランスのおニューなお店っぽいから!」
ミセ*゚ー゚)リ「ん?あっ、今仕舞おうとしたそれ、また新しい本買ってる~」
(゚、゚トソン「これですか。これは……」
ミセ*゚ー゚)リ「……?これは?」
(゚、゚トソン「……いえ、ミセリ。ミセリには……好きな人はいますか?」
ミセ*゚ー゚)リ「お、はじまった。さてはその本、恋愛小説的な何かだったわけ?」
(゚、゚トソン「恋愛……うーん……。愛の形はさまざまとも言いますから。さまざまをヨシとすれば、恋愛小説とも言えるんでしょう」
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137: ◆RG0tqCTiKk:2022/12/10(土) 23:09:05 ID:Sp2JCwak0
ミセ*゚ー゚)リ「ふーん?なんか難しい感じだったの?」
(゚、゚トソン「ええ、まあ、難しくはないんですけど」
(゚、゚トソン「仮に……、仮にですよ、ミセリに好きな人がいたとして、その人を独占したい、所有したいと思ったりしますか?」
ミセ*゚ー゚)リ「独占ん~~~は分からなくもないかもだけど……。所有したいってそれ、なんか人をモノ扱いしてるみたいじゃん。それはなんかヤ」
(゚、゚トソン「ヤですか」
ミセ*゚ー゚)リ「ヤ。奴隷とか、そういうのでしょ、人を所有するって。
外国ではあるかもしれないけど、私たちが普通に生きてる分には人を所有するなんてこと、あり得ないんじゃないかな」
(゚、゚トソン「いえ、そんなことはありませんよ」
ミセ*゚ー゚)リ「そっかな?」
(゚、゚トソン「うん、じゃあ分かりやすく例を出してみましょうか」
ミセ*゚ー゚)リ「お願いしますトソン先生」
(゚、゚トソン「例えば、ミセリが会社の社長だったとしましょう」
ミセ*゚ー゚)リ「え、やった。パフェ食べ放題じゃん」
(゚、゚トソン「パルフェはどこいったんですか……。で、すごく仕事ができる部下が一人いたとします」
ミセ*゚ー゚)リ「一流パルフェ職人ね」
(゚、゚トソン「その一流パルフェ職人が他の店に引き抜かれそうになってます」
ミセ*゚ー゚)リ「困る」
(゚、゚トソン「困りますよね。できればずっと自分の店で働いてもらいたい。これが独占欲です」
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138: ◆RG0tqCTiKk:2022/12/10(土) 23:10:36 ID:Sp2JCwak0
(゚、゚トソン「雇用主というのは、いわば人を独占している状態といえます。
でもあくまで決定権は働いているその人自身にあるので、ミセリの店に残るのも、他の店に鞍替えするのも、その人の自由なわけですね」
(゚、゚トソン「一方、人を所有するというのは、その人から決定権を奪って、生かすも殺すも自分次第の状態にすることを言います」
ミセ;゚ー゚)リ「急に怖いこと言い出した……。そんなことできるの?」
(゚、゚トソン「できますよ~その人の知られたくない秘密をばらすぞって脅したり。家族を襲うぞって脅したり。
他の店に行かせないために強請りを掛けるなんて、いかにもあり得そうな話じゃないですか?」
ミセ;゚ー゚)リ「まだ高校生だっていうのに、そんな世の中の裏側に頭が回るトソンのほうが私は恐ろしいよ……」
(゚、゚トソン「誉め言葉として受け取っておきましょう」
(゚、゚トソン「ま、人を所有するなんていうのは、そんなネガティブなイメージがあるわけで。
奴隷っぽくて嫌だとさっきミセリが言ったのも、当然っちゃ当然の反応です。所有なんて本来、人に使うような言葉じゃないですから」
ミセ*゚ー゚)リ「ミセリは従業員にやさしい社長になることをここに誓うよ……」
(゚、゚トソン「でも……最近読んだこの本で、もっと違った意味合いで、人を所有したい、
あるいは人に所有されたいという気持ちが叶ってもいいんだということに気付かされたんです……」
ミセ*゚ー゚)リ「ふーん……え?ん??」
(゚、゚トソン「さってと、そろそろ行きましょうか、おフランスに」
ミセ*゚ー゚)リ「えっ何、結局なんの話だったの??」
(゚、゚トソン「ただの独り言ですよ」
ミセ;゚ー゚)リ「その独り言に毎回相づち打ってる私は一体なんなのよ」
(゚ー゚ トソン「ンふふ、感謝してますよ」
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139: ◆RG0tqCTiKk:2022/12/10(土) 23:11:58 ID:Sp2JCwak0
(゚、゚トソン「あ、そうだ。感謝ついでにこれ、あげます」
ミセ*゚ー゚)リ「え、なにこれ、綺麗ー。瓶、の、キーホルダー?なんか入ってる」
(゚、゚トソン「実は本の影響で香水作りにはまってしまいまして、その試作品です」
ミセ*゚ー゚)リ「なにそのオシャな趣味は……。ってか香水って自分で作れるんだ!へぇ~。付けてみていい?」
(゚、゚トソン「ダメです」
ミセ;゚ー゚)リ「ダメ!?」
(゚、゚トソン「試作品なんで、ダメです。だからキーホルダーにしたんですよ」
ミセ*゚ー゚)リ「え~~~?それじゃ香水の意味ないじゃん!」
(゚、゚トソン「どうどう。完成品が出来たらまたあげるので、それまで気長に待っててください」
ミセ*゚ー゚)リ「えーじゃあ、それまで楽しみにしてる」
ミセ*゚ー゚)リ「ってか、そんな趣味まで始めるほど一つの本にはまってるの初めてじゃない?
恋愛小説なら好きだし、そんなにいいなら、私も読んでみたいな~」
(゚、゚トソン「ダメです」
ミセ;゚ー゚)リ「それもダメ!??なぜに!?」
(゚、゚トソン「ミセリにはまだ早いです」
ミセ*´ー`)リ「どういうこと~~~」
(゚、゚トソン「さ、早く行かないとお店閉まっちゃいますよ」
ミセ;゚ー゚)リ「釈然としねえ~~~~~」
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140: ◆RG0tqCTiKk:2022/12/10(土) 23:13:08 ID:Sp2JCwak0
――――読ませられるわけ、ないじゃないですか。
だって読んでしまったら、その香水の本当の意味に……。
( 、 *トソン
ビアンジュエ・パルファムのようです
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1660381293/
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